病気
先日、忙しいなか駆けつけてきて「アジカン呼吸法」を教えてくれたゆめのさんが、「病気になったとき、助けてくれる〈ソーシャル・サポーター〉を、日頃から育んでおくことが大事」と力説していた。 がん患者さんの心のケアをする精神科医のもとでヨガ講座を…
PET検査の当日は、すっきりと目覚めた。「爽快」というよりは、凛と張りつめていて、どちらかというとOFFに訪れた高原の朝というより、スポーツの試合の朝のような爽快さ――ここまで行ってきた食事制限や運動制限も影響していると思うが、一種独特な空気感の…
翌日はまた、〈なごみ・やすらぎ〉とはほど遠い日となった。会社を「休職」している状態のため、生活継続のために傷病手当の申請といった雑多な事務手続きをくぐらねばならず、それらの書類を受けとるため、昼下がりのカフェで勤務先の事務担当者と会ったの…
体に異変を感じてから10カ月――検査つづきでまだ本格治療には至っていないが、日本での通院治療についてここまでで感じたこと、必要だったものについてまとめておきたい。 1.服装 サンフランシスコで妊娠・出産のほか、怪我や手術等で多々病院通いをした経…
つぎの検査日は本当に、人生でもっとも来てほしくない日の1つだった。腰の引けるメニューが、計画表の上に目白押しにならんでいる。まるで出場したくない種目ばかりの運動会のプログラムをながめているような気分。中でも一番回避したかったのは「骨髄穿刺…
病とパワハラのダブルパンチで休業を余儀なくされて早2週間――人間とは(動物とは⁇)不思議なもので、毎日を罫線のないキャンバスに「自由に」描ける時間を与えられたというのに、自然と定期的に「通う」ところが生まれてくる。 さゆりの場合、その1つが、…
血液内科デビューとおなじ週、テラスの中学では受験前さいごの三者面談が行われた。入学当時からの恒例どおり、平日夕方の枠外〈特別枠〉を申請し予約していたため、その時間をめがけて塾からもどったテラスと実家で合流し、濃紺の夕闇にしずむ学校へ。 校舎…
院内周遊ツアーの水先案内人となったナースとの、血液内科から検査室までの道中の会話は主に、「最終診断を聞きにいく日の同伴者について」だった。A医師に「年末の診察日には、必ず付き添いの方を連れてきてください」といわれていたのである。 「父は高齢…
血液内科デビューの日――その日は恐ろしさや不安よりも、圧倒的に期待感、ワクワク感といったものの方が勝っていた。病が発覚した以上、すこしでも早く治療を開始してもらいたい。かつ、その間に転院という、一瞬はしごを外されたような期間が到来したため、…
今回の2つの災難をはじめて伝えた友人から〈教えてくれてありがとう……そして競泳の池江璃花子選手のニュースにも驚いている…〉と返信がきて、何が起こったのかとテレビをつけたら、う~む、なんだか今回書き綴っている件と似たような病を公表されたとのこと…
朝、「行ってきまーす」と大荷物をしょって出ていったテラスが数分後にもどってくるなり、「たいへん、体育着がない」という。「えーどこだろう。干した記憶がないから、今まわしている洗濯機の中かな」とこたえると、「そんな~。じゃ、あとで学校のくつ箱…
帰国以来、半年に1度の割合で定期検診のため「参拝」している乳腺外科医のP医師は「一見のらりくらりとした切れ者」(まさに名優、緒形拳演じる大石内蔵助!)といった感じの人物だが、瞳の奥にともる光がほんとうにやさしくて、診察室にとびこんだだけで胸…
テラスに話をした翌日、思いがけず、1本の電話がかかってきた。S病院秘書時代、医局にいたQ医師からである。 「ちょっと、話を聞いたんだけど……」と心配そうにきり出すQ医師。とりあえず、病の騒動の経緯を説明すると、「流れ的にはうまいくつなげているよ…
人生において歓迎しないことにはあまり慣れたくないが、今回の突発的騒動においてそれなりに冷静でいられたのは、やはり先の乳がん騒動における2つの「告知」のおかげだと思う。最初は日本——そして2度目は米国での体験である。 日本における人生初の告知は…
さて、難題の1つ、家族への告知である。 さしずめ知らせることを検討しなければならなかったのは、娘テラス、父、妹……このうち父と妹には検査を受けた段階でそれとなく「前振り」をしておき、高齢だが現役医療者の父には、診断結果が出た時点でショートメー…
診断結果を告げられた帰り道、夕闇に沈みかけた長い渡り廊下で、「ないほうでなく、常にあるほうを数えなさい」というR先生の教えが頭に浮かび、「今あるのは、とりあえず存在している私の命と、テラスと、2人のささやかな生活と、それを支えてくれる多くの…
その日——どうやってS病院へたどり着いたかが思い出せない。午前午後とも通常通り仕事をしていたはずなのだが……いったん落ち着いたように思えて、やはりどこか普通でない状態だったのかもしれない。 この日、唯一心の支えとなっていたのは、この人生の一大イ…
S病院のT医師から電話がかかってきたのは、職場での苦悩をY氏に打ち明けた翌日だった。すでに不眠その他の症状が噴出しており、心身ともに墜落直前の水面ギリギリ飛行状態……まさに「泣き面に蜂」といったタイミングである。 第一報は、留守番電話メッセージ…
秋口になって、まるで「連動型地震のように勃発した2つの不幸」——その2つ目は、職場でのパワハラである。もうかれこれ1年以上続いていたが、なぜかそのころ、2つの渦が連動して膨張するように、こちらも一気にエスカレートしていった。 人間というものは…
2018年、季節は早くも秋—— 胃カメラ検査当日は、ほそい糸のような雨がのこる朝だった。娘テラスの朝食を整え、身支度もそこそこにあわてて飛び出したものの、雨に気づいていったん戻り、さらに長い傘を折りたたみ傘にもちかえて……と慌ただしい出発。 前日は…
「彩雲」を見た日は、朝からさまざまなものが空に現れる、まことにスピリチュアルな日だった。名詞になんでも「な」をつけて気軽に形容詞に換えてしまうJC娘、テラスに言わせれば、「天体ショーな」1日である。 早朝、先陣をきって現れたのはSAMだった。SAM…
2018年、史上まれにみる酷暑が続いた夏の終わり、仕事とママ業からしばし解放され、エネルギー充電の地、軽井沢へ。 久しぶりに気のおけない仲間と浅間山に抱かれた光あふれるフェアウェイでゴルフに興じていると、「見て~」という仲間のさけび声が——。 指…
歴史的には「平成天皇譲位の前年」となる2018年は、思い返せばそれなりに穏やかな日々だった。唯一、悩まされていた1つのことをのぞいては…… そのことにより、長くストレスがかかっていたことは否めない。だから、秋になって連動型地震のように「勃発」した…