シングルマザーの勇気と情熱

「母として」から、「自分らしく」へ。2019年、気球に乗り換え、さあ出発!

シングルマザー

2018年宇宙の旅

PET検査の当日は、すっきりと目覚めた。「爽快」というよりは、凛と張りつめていて、どちらかというとOFFに訪れた高原の朝というより、スポーツの試合の朝のような爽快さ――ここまで行ってきた食事制限や運動制限も影響していると思うが、一種独特な空気感の…

人生ゲームー令和版-

時は進み、令和の夜明けを目前にひかえた週末―― 保育園時代のママ友の家で、受験をおえた慰労会が開催された。出席者は、おもてなし役のAK夫妻と息子のY君、さゆりとテラス、それに、同じくシングルマザーのTM嬢と息子T君の計3家族7名。LINEでは親同士、子…

ディアブロな日々

つらい検査が重なった日は、いつもの3倍以上の時間をかけてゆっくりゆっくり帰宅した。そのとき感動したのは、「やっぱり人間ってすごい!」ということ。あれほどつらい検査をたてつづけにこなしても、その日のうちに1人で長い階段を上り下りし(それがた…

患者の一番長い日

つぎの検査日は本当に、人生でもっとも来てほしくない日の1つだった。腰の引けるメニューが、計画表の上に目白押しにならんでいる。まるで出場したくない種目ばかりの運動会のプログラムをながめているような気分。中でも一番回避したかったのは「骨髄穿刺…

人生ファブリック

朝、テラスが出かけてまもなく、宅配便のお兄さんがやってきた。扉のすきまから、腕に抱えられているほどよく運びやすい大きさの箱を見ただけで、さゆりには差出人の察しがついた――先ごろ、国立新美術館で〈氣〉のレクチャ―をしてくれたF先輩である。 F先輩…

第三の条件

血液内科デビューとおなじ週、テラスの中学では受験前さいごの三者面談が行われた。入学当時からの恒例どおり、平日夕方の枠外〈特別枠〉を申請し予約していたため、その時間をめがけて塾からもどったテラスと実家で合流し、濃紺の夕闇にしずむ学校へ。 校舎…

黄金の輝き

院内周遊ツアーの水先案内人となったナースとの、血液内科から検査室までの道中の会話は主に、「最終診断を聞きにいく日の同伴者について」だった。A医師に「年末の診察日には、必ず付き添いの方を連れてきてください」といわれていたのである。 「父は高齢…

ポッシブルなミッション

朝、「行ってきまーす」と大荷物をしょって出ていったテラスが数分後にもどってくるなり、「たいへん、体育着がない」という。「えーどこだろう。干した記憶がないから、今まわしている洗濯機の中かな」とこたえると、「そんな~。じゃ、あとで学校のくつ箱…

あおいくま〈New Version〉

長らく「お会いしたいですね」とたがいに綴り合っていた人が、東京近郊の地で開かれる研修会の帰りにかけつけてくれることになった。――以前、広報を担当していた医療機関で直属の上司だったK氏である。 ふだんなかなか会う機会がなくても、心が弱ってくると…

NK細胞増殖作戦

先日、弟のバースデーに「お誕生日おめでとう」とメールを送ったら、「ありがとう。40+〇歳になりました」と返事がかえってきて、思わず飲みかけのコーヒーにむせてしまった。私が大学に入ったとき、まだ小学生だったのに……いくつになっても(尊敬もする…

米国式告知法

人生において歓迎しないことにはあまり慣れたくないが、今回の突発的騒動においてそれなりに冷静でいられたのは、やはり先の乳がん騒動における2つの「告知」のおかげだと思う。最初は日本——そして2度目は米国での体験である。 日本における人生初の告知は…

難を転じる

さて、難題の1つ、家族への告知である。 さしずめ知らせることを検討しなければならなかったのは、娘テラス、父、妹……このうち父と妹には検査を受けた段階でそれとなく「前振り」をしておき、高齢だが現役医療者の父には、診断結果が出た時点でショートメー…

変装してやってきた祝福

診断結果を告げられた帰り道、夕闇に沈みかけた長い渡り廊下で、「ないほうでなく、常にあるほうを数えなさい」というR先生の教えが頭に浮かび、「今あるのは、とりあえず存在している私の命と、テラスと、2人のささやかな生活と、それを支えてくれる多くの…

運命の電話

S病院のT医師から電話がかかってきたのは、職場での苦悩をY氏に打ち明けた翌日だった。すでに不眠その他の症状が噴出しており、心身ともに墜落直前の水面ギリギリ飛行状態……まさに「泣き面に蜂」といったタイミングである。 第一報は、留守番電話メッセージ…

遠近両用メガネ

このあたりで、わが相棒、テラスを紹介したい。 「どんな子供か」と聞かれたら、「丈夫で手のかからない、人生のよき相棒」と答えるだろう。英語で分娩・出産のことを "delivery" というが、一目見たとき、その黒目の奥の光を見て、「神さま、コオノトリさん…

シングルマザーを生きる

時はさかのぼり、2003年3月——。 サンフランシスコで妊娠8週目に入ったさゆりのもとに、突然、日本の友人L嬢から「シングルママになります」と告白メールが届いた。 当時の日記には、 〈「同時期におなじ(妊娠という)経験ができそうで嬉しい」と返信したが…

夏の彩雲

2018年、史上まれにみる酷暑が続いた夏の終わり、仕事とママ業からしばし解放され、エネルギー充電の地、軽井沢へ。 久しぶりに気のおけない仲間と浅間山に抱かれた光あふれるフェアウェイでゴルフに興じていると、「見て~」という仲間のさけび声が——。 指…

ブログの世界へ、go!

2019年の幕開けとともに、長い沈黙を経て、ブログの世界へ戻ってまいりました、国際熱血シングルマザーさゆりです。 きっかけとなったのは、昨年秋に勃発した一大騒動—―毎度お騒がせのさゆりの身に何が起こったか、これから少しずつ綴っていきたいと思います…