美術
院内周遊ツアーの水先案内人となったナースとの、血液内科から検査室までの道中の会話は主に、「最終診断を聞きにいく日の同伴者について」だった。A医師に「年末の診察日には、必ず付き添いの方を連れてきてください」といわれていたのである。 「父は高齢…
血液内科デビューの日――その日は恐ろしさや不安よりも、圧倒的に期待感、ワクワク感といったものの方が勝っていた。病が発覚した以上、すこしでも早く治療を開始してもらいたい。かつ、その間に転院という、一瞬はしごを外されたような期間が到来したため、…
叔母の作品が日展の書部門に入選した。招待券を送ってくれたので、これは見にいかねばと、商社時代のF先輩を誘い、六本木の国立新美術館へ。 このツアー、直前になって道連れがもう1人ふえた。さゆりはその前後、恋人と別れたばかりで「時々心がざわつく」…